Science Tokyo設立記念 未来社会創成研究院キックオフシンポジウム「オルタナティブな未来:100年後を再構築する」を開催

2025年3月18日 公開

Science Tokyo設立記念 未来社会創成研究院キックオフシンポジウム「オルタナティブな未来:100年後を再構築する」を開催

東京科学大学(Science Tokyo)未来社会創成研究院は2月21日、渋谷キューズおよびオンラインのハイブリッド形式で、Science Tokyo設立記念 未来社会創成研究院キックオフシンポジウム「オルタナティブな未来:100年後を再構築する」を開催しました。
未来社会創成研究院は、理学・⼯学・医学・⻭学・人文社会科学の研究者が共創する科学的集合知により、社会に未来像を提⽰する新たな研究領域を創出し、もって公正な社会の実現に資することを使命とする研究組織として2024年10月の新大学誕生と同時に設置されました。
このシンポジウムは、未来社会創成研究院のキックオフとして、「オルタナティブな未来」、そして「100年後の社会」をキーワードに据えて当研究院の研究者およびゲストスピーカーが科学を軸とした未来の可能性を語りました。

シンポジウムの概要

シンポジウムは、田中学長の開会あいさつから始まりました。学長は「未来社会創成研究院には、学内の組織の壁を越え、広い分野の研究者たちを巻き込んだ、Science Tokyoのコンバージェンスサイエンスを展開してほしい。私たちが考えもしなかった社会課題の発見とその解決策を生み出すことを期待したい。」と述べました。
続いて、未来社会創成研究院の研究者およびゲストスピーカーからの講演の後、パネルディスカッションを実施しました。未来社会創成研究院が提案する「オルタナティブな未来」と「100年後の社会」をテーマにしたディスカッションで、科学技術を基盤にしつつ、多様な視点から未来を再構築する重要性が語られました。

登壇者と講演内容は以下の通りです。

第1部 未来社会創成研究院の紹介

開会挨拶

田中雄二郎学長

「未来社会創成研究院の紹介」

オルタナティブな未来を考える未来社会創成研究院(IFs・イフス)が進めるイニシアチブが紹介されました。

藤原武男(未来社会創成研究院長)

来賓挨拶

Science Tokyoを象徴する組織として、果敢なチャレンジと研究力向上に期待が寄せられました。

塩見みづ枝(文部科学省研究振興局長)

「持続可能な未来のために~プラネタリーウェルビーイングへの貢献を目指して~」

プラネタリーウェルビーイングイニシアチブ

キルギスで大気汚染を測定するプロジェクトを例に、地球という惑星と全世代や未来の人のウェルビーイングを考える意義を提示しました。

那波伸敏
(未来社会創成研究院 ウェルビーイング創成センター長)

「ヒューマンモビリティの未来像」

ヒューマンモビリティイニシアチブ

多様な環境や状態での人の運動器機能の可能性を追求し、人のライフパフォーマンスの向上を目指す取り組みを紹介しました。

室伏広治(東京科学大学特命教授(スポーツ庁長官))

「ジレンマの世界」

ソーシャルディレンマイニシアチブ

安全保障のジレンマといった背反する二者択一への対応を、所有の問題を提示しながら、対処療法ではなく100年後を考えることの重要性を強調しました。

川名晋史(未来社会創成研究院 副研究院長)

「宇宙で生きるために必要なこと」

宇宙人類イニシアチブ

月や火星で文明を作る未来を描く中で、技術革新の突破口と、宇宙で生きることの価値観の創成について具体的な事例を交えて紹介しました。

関根康人(未来社会創成研究院 地球生命研究所長)

第2部 オルタナティブな未来:100年後を再構築する

「Planet6.0」

地球、月、火星、小惑星が連携してエコシステムを構成する「Planet6.0」の未来像が紹介され、その実現に向けた挑戦的な取り組みが語られました。

中村貴裕(株式会社 Midtown 代表取締役 CEO)

「100年後を夢見るための地域デザイン」

社会システムを変えることでより豊かな暮らしにつながると、相互扶助などの地域の事例を通じて紹介しました。

林千晶(株式会社 Q0 代表取締役社長)

パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、伊藤亜紗 未来社会創成研究院 DLab+ディレクターをファシリテーターとして100年後の社会に向けた対話を重ねていきました。
科学(Science)と社会との関係の重要性がファシリテーターから提起され、テクノロジーの目的化ではなくビジョンに賛同を得ること、また、知的好奇心の重要性が語られました。さらに最先端科学だけでなく、コストファイナンス、倫理や文化、価値観の変化についても議論が交わされました。

伊藤亜紗 未来社会創成研究院 DLab+ディレクター(一番左)と登壇者の皆さん

閉会挨拶

最後に大竹理事長より閉会のあいさつがありました。科学の基礎を持ち、同時に科学の最先端を担っているというScience Tokyoの強みを生かし、その多様な知を集約したビジョンを構築し発信していきたいと述べて、シンポジウムを締めくくりました。閉会後には参加者と登壇者との活発な情報交換が行われました。

大竹尚登理事長

Science Tokyo未来社会創成研究院では、社会との対話を積み重ねて、社会とともにオルタナティブな未来を考えていきます。

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