2025年10月25日、東京科学大学大岡山キャンパスにて「女性活躍応援フォーラム2025『理工学系の世界って? その先にある未来へ』」を開催しました。本フォーラムは、女子の中高生・高専生の理工系進路選択を応援し、社会課題の一つである女性理工系人材の育成や裾野拡大を目的に、東京科学大学 社会連携・DE&I本部DE&I部門が主催したものです。当日は、会場とオンラインで計323名の多くの方々にご参加いただき、理工学系の魅力と未来の可能性を共有する一日となりました。
開会挨拶:多様性が育むScience Tokyoの学び
開会にあたり、社会連携・DE&I本部長である山本佳世子理事(社会連携担当)が登壇。Science Tokyo(東京科学大学)には、理工学系と医歯学系の学生が授業科目を相互に履修できる仕組みや、異分野の学生が週1回集う「大岡山Day」など、分野の垣根を超えた学びの環境が整っていることを紹介しました。これらの取り組みは、多様性を尊重し、ともに学び、ともに成長する、それによってより良い未来の実現を目指す、本学のDE&Iの精神を象徴しています。様々な背景を持った人たちが安心して大学生活を送ることができる環境をしっかりつくりあげていきたいと語りました。
基調講演「ピンクダイヤモンドでありたい未来を創る」
波多野睦子理事・副学長(研究・産学官連携担当)による基調講演では、はじめに、Science Tokyoが掲げる「VI:ビジョナリーイニシアティブ」について紹介し、「善き生活」「善き社会」「善き地球」を実現するため、分野が高度に融合した研究・教育を進めていくことを語りました。今、私たちの未来に関わる6つのVIを構想し、世界中の研究者や産業界の方々とも協力して進めていこうとしています。ぜひScience Tokyoに加わっていただき、ありたい未来を共に創りましょうと呼びかけました。
次に、「ピンクダイヤモンドでありたい未来を創る」と題し、最先端の量子技術を紹介しました。自然界では非常に希少なピンクダイヤモンドを人工的に合成し、高感度な「量子センサ」として応用する研究です。低炭素社会や超高齢化社会をはじめ様々な課題への貢献が期待されるこの技術は、科学が未来社会をどう形づくるかを具体的に示すものでした。また、量子の不思議な性質や、ダイヤモンドの構造的特性、さらにはDE&Iとの共通点についても触れられ、科学と社会の融合を実感できる講演となりました。
基調講演後は、今回のフォーラムをはじめ、本学の女性活躍推進の取り組みに賛同し支援する応援企業7社による、企業内における女性活躍への取り組みや女性社員の活躍の様子などを紹介する動画を会場とオンラインで上映・配信しました。
学生パネルディスカッション: リアルな学生生活と未来の選択肢
第二部は、生徒の皆さんから注目が高い、理工学系で学ぶ5名の学生によるパネルディスカッションです。ファシリテーターの野村淳子マネジメント教授のもと、「なぜ理工学系を選んだのか」「大学生活ってどんな感じ?」「将来はどう考えている?」といったテーマで、学生たちが自身の経験や考えをユーモアたっぷりに語りました。
進路選択の背景には直感的な憧れや身近な興味があり、大学生活では研究・留学・課外活動など多様な挑戦が紹介されました。将来についても研究・開発職や文系就職など幅広い選択肢が語られ、理工学系の学びが個々の可能性を広げていることをイメージすることができる一助となりました。中高生・高専生へのメッセージも力強く、進路を考える皆さんへの温かいエールとなりました。
続く質疑応答では、会場から積極的に手が上がり、ピンクダイヤモンド以外は量子センサにならないのか、物理・生物の科目選択、ロケットサークルCREATEの活動内容などの質問に対して、学生や教員が丁寧に答え、理解が深まりました。
閉会挨拶
最後に、桑田薫副理事(DE&I担当)が閉会挨拶に立ちました。本日のプログラムの所感とともに応援企業の皆様からのメッセージ動画にも触れ、理工学系出身の女性が社会で幅広く活躍している姿を振り返り、本フォーラムが、参加者の皆様にとって進路選択や将来を考える一助となることへの期待を述べ締めくくりました。
参加者の声(アンケートより)
- 量子が脳や意識、動物の行動に関係しているという話が印象的でした。学生さんたちの個性が豊かで、自分もきっと居心地が良いだろうなと憧れが強くなりました。『好きなことに挑戦する』姿勢の大切さが伝わり、理工学系への興味が深まりました。(高校生・女子)
- Zoomで参加していたら、中学1年の弟が「すごいなぁ、わくわくするね!」と興味を持ち、最後まで一緒に学べました。(高校生・女子)
- 学生さんたちがとても楽しそうで、希望が湧いてきました。科学大のイメージが変わりました!(保護者)
- 学生の個々の興味、それぞれのキャラクターを感じられるパネルディスカッションでした。色々な分野の勉強ができる大学だとわかりました。(保護者)
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DE&I部門(理工学系)
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