「Science Crosspoint 2025 ―ここから広がる研究の未来―」を開催

2025年11月25日 公開

2025年10月9日、東京科学大学(Science Tokyo)は、研究マッチングイベント「Science Crosspoint 2025 ―ここから広がる研究の未来―」を開催しました。

本イベントは、これまで交わる機会の少なかった理工学、生命科学、医歯学など多様なバックグラウンドを持つ本学の研究者や学生が互いの研究を知り合い、新たな視点の獲得と分野を超えた融合研究の創出を目的としています。今回は、若手研究者および博士課程学生32名が研究発表を行い、約80名の教職員・学生が参加し、研究交流を行いました。

開会挨拶では、リサーチディベロップメント機構長である阪口啓副学長から、研究は異分野との融合によって「個々の研究が一次元的な視点から、立体的で強固な構築へと進化する」とのメッセージがありました。学生を含めた若手中心の研究交流によって、次代の学術研究を切り拓く一歩となることへの期待が示されました。

続いて、古川哲史執行役副学長から、本学が目指す「善き未来」を実現するための分野横断型の研究体制「Visionary Initiatives (VI:ビジョナリーイニシアティブ)」が改めて紹介されました。また、異なる分野の研究者が直接顔を合わせ、議論を交わすことで見えてくる視点や疑問こそが、既存の枠を越えた「革新的な研究」につながる、と強調されました。一般的な知見にも疑問を持ち、自らの信じる研究に挑戦し続ける姿勢が、未来を切り拓く鍵であると語りました。

イベントの中心となったのは、若手研究者による一人1分で研究をアピールするライトニングトークと、それに続くポスター発表です。参加者は、自身の研究テーマに加え、異分野への具体的な展望や可能性をアピールしました。同様に、ポスター発表でも研究内容の紹介だけでなく、融合の可能性に焦点を当てた活発な議論が時間いっぱいに展開されました。キャンパスを越え、対面で議論することで、学生や若手研究者がVIを通した研究室間のつながりを再発見する機会ともなり、その場で具体的な共同研究の話が進むなど、実効性の高い研究交流の場となりました。

ポスター発表の様子

本イベントは大学統合前の2023年度に実施した「東京医科歯科大学・東京工業大学マッチングファンド」第2回の採択者6組による成果報告会も兼ねており、融合研究が研究の課題解決にどのように貢献するかについての知見が紹介されました。

赤星径一講師によるトーク

報告者の一人、医歯学総合研究科(肝胆膵外科)の赤星径一講師は、環境・社会理工学院の沖拓弥准教授との共同研究事例を紹介し、異分野融合研究の難しさと成功のヒントを共有しました。

赤星講師は共同研究を通して、専門用語や考え方の違いを埋めるためのリテラシーの相違を乗り越える工夫、研究課題に関して自身の専門にとらわれない仲間を見つけることの重要性が語られました。研究者として貴重な経験になったと強調し、「ぜひ新たな発想をもって融合研究を作り上げていただきたい」と、参加者にエールを送りました。

医歯学総合研究科赤星径一講師と環境・社会理工学院の沖拓弥准教授らによる「効果的な働き方改革実現に向けた医療従事者の働き方の可視化・定量化」

具体的なマッチングを望む参加者や、融合研究に関心を持つ参加者が一堂に会した本イベントでは、「互いを理解しよう」というポシティブな空気の中、時間いっぱいまで活気ある議論が交わされました。

閉会にあたり、古川哲史執行役副学長から「このように現在の研究課題について気軽に議論できる場があることで、若手研究者たちが新たな刺激や融合研究のきっかけを得られたかと思う。ここで得たネットワークを生かし、継続的に議論を積み重ね、将来的に新たな研究分野を開拓していけることを期待する」と述べ、幕を閉じました。

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