受験生から学院へのよくある質問
受験生から学院に多く寄せられる質問と回答をまとめました。
系の特色は?どんな研究ができるの?将来の進路は?など、みなさんの疑問にお答えします。
理学院
Q.
理学院の化学系と、物質理工学院の応用化学系の違いを教えてください。
化学系は根本原理に基づいて化学を理解することを目指しています。実用に役立つ化学を追求するのが応用化学ですが、化学は我々身の回りの物質の科学ですから、化学系も実用的な化学と強く結びついています。その様な実用的な化学の仕組みの根本原理を解明し、構築し、さらに新たな物質科学を切り開くのが化学系といえます。
Q.
理学院の数学系と、情報理工学院の数理・計算科学系の違いを教えてください。
数学系は数学そのものを学ぶところで、数学を学びたい学生が集まります。数理・計算科学系でも数学そのものを学べますが、計算機への応用や計算機科学が中心的になります。
Q.
物理学系と地球惑星科学系の違いを教えてください。
どちらも宇宙に関する研究を行っていますが、地球惑星科学系は太陽系や太陽系外に存在する「惑星」にフォーカスしております。
これに対し、物理学系では「恒星・銀河・宇宙論」などが研究対象になっているほか、自然界の原理を見出すという目的のため、それぞれの研究室の興味に応じて様々な研究対象を扱います。それらは宇宙や地球に関係するかもしれないし、宇宙のどこにもないものかもしれません。
Q.
それぞれの系では具体的にどのような研究を行っているのですか。
数学系では、現代数学の様々な分野における問題を解決するために、既存のアイデアを組み合わせたり、新しいアプローチを考えたり、それらを議論するという形で研究をしています。
物理学系の研究室では、自然現象の法則性を見い出し体系化することを目標に、極微の世界から広大な宇宙まで、幅広い研究が行われています。
化学系は大きく3つの分野、有機化学、無機・分析化学、物理化学に分けることができますが、それぞれの分野が連携して研究しています。順番に例を挙げると、複雑な天然物の全合成、超分子化学、酵素反応化学、有機金属化学、錯体化学、イオン伝導結晶、人工光合成、光相転移、有機・無機ハイブリッド固体化学、複雑分子のレーザー分光、分子運動イメージング、1分子計測などの世界トップレベルの研究を行っています。
地球惑星科学系は地球をはじめとする惑星の形成過程やその進化、さらには地球に存在する生命の起源や宇宙における生命の普遍性について研究しています。
Q.
それぞれの系の授業では主にどのようなことを行っているのですか。
数学系では、現代数学では必須とされる内容を講義します。
物理学系では、講義、演習、実験の科目が用意されており、これらを組み合わせることで、より深く物理を身に着けることができます。
化学系では、有機化学、無機・分析化学、物理化学の各分野を体系的に学んでいきます。また、化学では実際に物質を手にして、新たな物質を作り出し、測定することが大事です。そのため、学生実験や演習、4年次における学士特定課題研究(卒業研究)を特に重視します。その経験の積み重ねが、希望する物質を作り出す礎となり、小さな変化や異常も見逃さずに新現象や新事実を発見する感覚を研ぎすますもとになります。ほとんどの学生は、学部卒業後に大学院へ進学し、さらに研鑽を積みます。化学系では教員数が一学年の学生数よりも多く、非常に恵まれた環境で学修することができます。
地球惑星科学系では、惑星の運動、内部構造や化学組成を理解するための数学・物理・化学に加え、惑星形成理論や地球史、宇宙地球化学といった専門分野の基礎を学びます。さらに、野外実習や室内実験、数値計算演習などもあります。
Q.
卒業した後は、どのような職業に就く人が多いですか。
数学系では、情報・サービス業、金融・保険業に就く人が多いです。
物理学系では、多くの卒業生が大学院に進学します。その後、大学教員や企業の研究開発部門など、物理の研究で培われた論理的に考える力や応用力を生かせる分野で活躍しています。
化学系については、化学は産業との結びつきが強いため、「就職に強い」というのが特徴です。ほとんどの学生が大学院に進学するため、その後の就職についてですが、およそ6割の学生は化学系企業(各種材料、医薬品、食品)に就職します。それ以外には、電気・機械、通信・公共、公務員などが挙げられます。博士課程修了後の就職先は、約半数は大学や研究機関ですが、近年、化学系博士卒人材に対する企業の需要が高まりつつあり、約半数は企業に就職してグローバルに活躍しています。
地球惑星科学系では、大学や研究所におけるアカデミックな研究(教育)職に加え、企業などでの研究技術者になる卒業生が多いです。最近では、プログラミング能力を活かしてIT系に就職する学生も少なくありません。
Q.
理学院は工学系の他の学院に比べて就職先が少ないということはありますか。
その様なことは全くありません。
化学系で物質科学の基礎(分子を理解する力、設計する力、つくる力)を修得した学生は、物質に関わるどのような分野でも通用する人材として、幅広い産業分野から強く求められています。
物理学系では、研究内容がそのまま就職後に役立つことが少なくても、物理学を基盤とした思考力や応用力が高く評価されており、推薦枠も多くあります。
Q.
数学系では自主ゼミをやりたいと思っている学生や、やっている学生は多いですか。また、やっているのならば、どのような内容のゼミをやっているのでしょうか。
自主ゼミをやっている学生は多いです。講義の「一歩先」がもっぱらのゼミの内容です。
Q.
地球惑星科学系で学ぶためには、物理と数学が得意でなければ難しいでしょうか。
大学入学レベルの数学・物理、および1年次の必修科目をクリアしていれば問題ありません。地球惑星科学の研究対象は幅広く、化学や生物が得意な学生も活躍しています。
Q.
講義の内容は高校で学んだことの応用か新しく学ぶことのどちらが多いですか。
数学系ではほとんどすべてが新しく学ぶことです。
物理学系では、大学では高校の授業では触れない新しい分野を多く学ぶことになります。それにより、既に高校で学習した内容も全く違うものに見えてくるかもしれません。
化学系では、高校の化学では物理的な取り扱いが困難なため、化学はどうしても暗記科目になっている側面が強いですが、それを根本原理から学び直すというのが低学年での主なミッションです。高学年になると、その根本原理をもとに、最先端の物質科学を学んでいきます。
地球惑星科学系の場合、高校地学を履修している学生は少ないので、その意味では新しいことを学ぶ機会は多いかもしれません。
Q.
高校数学と大学数学はどんなところが違うのか知りたいです。
例えば高校数学では個々のベクトル・図形・関数を調べる手法を学びますが、大学数学ではベクトル・図形・関数の全体を考え、それらが持つ数学的な構造を学びます。
Q.
研究テーマとはどのようにして決めるものでしょうか。
数学系では、自分が面白いと思うこと、もっと知りたいと思うことをテーマにします。
物理学系では、各分野でどのような問題が提起されているのかを常に把握しつつ、その中で自分が興味を持ち、自身のそれまでの研究の蓄積に基づいて何らかの寄与ができると判断した問題に挑戦していきます。
化学系では、まず自分の興味のある研究室を選ぶことから始まります。どの研究室でも、研究テーマは世界初の内容であり、実験を通じて人類の誰も見たことのない現象をみなさん自身が観測し、それを解き明かしていきます。本人の希望に合わせて、適切な研究テーマを指導教員と一緒に相談しながら決めていきます。
地球惑星科学系では、学生と教員の話し合いで研究テーマが決まります。学生の興味を引き出すことを最優先します。
Q.
先生たち、先輩たちは研究したいこととどのように出会いましたか。
人によって様々な出会い方があり、本を読むことや、子供のころに買ってもらった図鑑や望遠鏡などがきっかけとなった人も多いです。
一方で、大学に入ってから講義や実験でさまざまな物質・現象に出会っていく中で、「これを研究したい」というものが見つかることも少なくありません。
工学院
Q.
工学院の情報通信系と情報理工学院の情報工学系の違いを教えてください。
情報通信系と情報工学系は、分野として近接領域なので、類似している点も多いです。
プログラミングや人工知能(AI)などの基本的な学習内容については共通しています。
情報通信系で扱う技術分野は、さまざまな面で、皆さんに身近なスマートフォンに活用されています。たとえば、スマートフォンに実装されたプログラムや人工知能は、高度な通信ネットワーク、高速な情報処理を行う小型LSI、画像音声の入出力、ヒトの利用を考慮した操作の設計、情報セキュリティが求められます。これらすべての技術を情報通信系では取り扱っています。
なお、情報通信系では工学院の他系とも連携し、ハードウェアからソフトウェア、通信やネットワークを統合する画像処理、言語処理、通信応用、AI対応回路システムなどの応用技術についての教育・研究を行っています。
Q.
それぞれの系では具体的にどのような研究を行っているのですか。
系サイトの「研究室と研究テーマ」で研究室の様子や研究テーマを紹介しています。また公式YouTubeチャンネルにもそれぞれの系の動画をアップしていますので併せてご覧ください。研究の中身をより具体的に理解できるでしょう。
機械系
システム制御系
電気電子系
情報通信系
経営工学系
Q.
それぞれの系の授業では主にどのようなことを行っているのですか。
系サイトの学士課程「学びの体系」で教育課程の概略を説明しています。授業科目ごとの詳しい説明はリンク先にありますので、ご覧いただくことをお勧めします。なお、学士課程卒業後、大学院への進学を考えている受験生向けに大学院各コースのリンクも張っていますので参考にして下さい。
Q.
卒業した後は、どのような職業に就く人が多いですか。
学士課程のほとんどの学生は大学院修士課程に進学します。工学院の学士課程、大学院の修了者には系での学習や研究分野の領域だけに留まらず、幅広い業種からの求人が寄せられています。就職を希望する学生は自分の適性に合った職場を選択することができます。
具体例は各系のWebサイトで公開している情報を参照してください。
Q.
ロボットを研究したいが、どの系を選べばよいですか。
工学院では機械系とシステム制御系がロボットに関係の深い研究を行っています。
機械系ではロボットを研究をしている研究室が数多くあります。ロボティクスに関連した機械システム・機械要素・メカニズム等に関わる基礎研究のみならず、産業・医療・宇宙・農林業・微小世界応用等に至るまで様々な応用研究も広く行われています。
システム制御系では、ハードウェアとそれを操るソフトウェアを一体的に考えるメカトロニクスを中心に学習し、研究に応用していきます。ハードウェアを制御する考え方には数学がとても重要であり、ロボットやドローン、ビークルなどの制御には機械学習などのAI技術も非常に有用です。これらのハードとソフトのフィードバックによるあらたなロボットシステムの構築が行われています。
Q.
ロケットなど宇宙関連のことを学びたいです。また、航空工学にも興味があります。どの系を選べばよいですか。
工学院では機械系とシステム制御系、電気電子系でロケットをはじめ宇宙に関係の深い研究を行っています。航空工学については、機械系とシステム制御系が関連領域の研究を行っています。
機械系では、宇宙ロボットシステム、宇宙膜構造物、宇宙アンテナ技術、 大規模宇宙システム構築、宇宙機・航空機用の複合材料性強度部材、宇宙機や宇宙構造物などの研究があります。
システム制御系では、航空機や宇宙機の制御はこれまでも制御工学の研究対象であり、近年は特にドローンの飛行制御を研究している研究室が複数あります。また、ドローンの飛行を想定した災害現場の状況把握など、航空技術と関連を持った融合研究も盛んです。
電気電子系では、宇宙空間を利用した新たな通信に関する研究を行っています。無線通信のカバレッジを現在よりも拡張するためには、小型衛星を大量に用いた衛星コンステレーションと呼ばれる無線通信システムが必要です。その実現に向け、宇宙でも動作可能で小型衛星に搭載可能な無線機および無線通信向け集積回路の研究開発を行っています。
Q.
それぞれの系で使える実験設備を教えてください。
機械系には、機械工学に関連した特殊実験装置、機械系のものづくりを支える工場設備、3Dプリンター設備、分析室等、充実した環境が揃っています。また、創造工房という他大学との実験などでも利用される設備があり、そのほかにも様々な研究設備を広く利用してもらうために公開している研究室もあります。
システム制御系には、メカトロニクスの実習ができる実験室を2部屋用意しており、AIビークルなどをPythonを使って自分のプログラム通りに動かせるような環境があります。
電気電子系の実験講義では電気電子工学の様々なことが学べる実験室を利用します。そこでは、半導体、回路特性、電気機器など幅広い内容を実験設備を用いて学習します。
情報通信系では、VLSI実験室、情報工学系計算機室を授業履修者が利用できます。
Q.
VRに関する研究は行っていますか。また、どんな研究を行っているか教えてください。
工学院では、機械系、情報通信系を中心にVRに関する研究が行われています。
機械系では、医師が直感的に操作できる手術支援ロボットを開発するため、仮想空間(VR)を活用する研究が行われています。また、関連して、仮想現実(AR)、複合現実(MR)がありますが、機械系ではこれらを活用して、ARを用いた医療用鉗子補助技術の開発や探傷式AR超音波流動計測法の開発、MRを用いた機械システムの開発等の研究なども行われています。
情報通信系では、視覚、聴覚、嗅覚などの感覚知覚システムの拡張や体験システムに関する研究をしています。
Q.
ブレインマシンインターフェースを研究したいと思っています。工学院で研究することは可能ですか。
工学院では、機械系、電気電子系、情報通信系でブレインマシンインターフェースの関連研究が行われています。
機械系では、脳・神経レベルでヒトと機械をつなぐ技術開発や、脳機能の解読・可視化・維持向上に挑んだ研究、人の生体情報を活かしたAI/ロボット技術、応用脳科学等のブレインマシンインタフェース関連研究が行われています。
電気電子系では、脳から発生する微弱な磁場を新しい量子センサで計測しようという研究が行われており、将来的にブレインマシンインターフェースに繋がると期待されます。
情報通信系では、脳の運動機能の解明と応用と位置づけで研究しています。
Q.
医学分野と情報分野を組み合わせた研究をしたいと考えています。工学院ではそのような研究は行われていますか。
工学院ではすべての系で医学分野と情報分野を組み合わせた研究を行っています。以下にその代表例を示します。
機械系では、メカトロニクス技術を活用した医療機器や、ヒトと機械をつなぐ技術、手術ロボットの開発などをはじめとした多様な研究を行っています。
システム制御系では、Moonshotプロジェクトとして、未病に関する観点から医学と数理の融合として行っています。また、医用生体工学の分野でセンシング技術を開発したり、交通事故における外傷推定の手法を提案したりしています。
電気電子系では、モバイルバイオセンサに関する研究を行っています。モバイルヘルスは、スマートフォンなどのモバイル端末で検査を行う技術です。生活の中で使用できるバイオセンサは、超スマート社会において生体情報のモニタリングに役立つものと期待できます。
情報通信系では、X線画像などの診断画像をAI画像処理や信号処理によって診断支援する研究を行っています。
経営工学系では、医療におけるヒューマンエラー削減に向けた技術開発や、医師の高度な技能の解明などの研究を行っています。
Q.
自分で作りたいものがあるとき、それを実現できる環境はありますか。
東工大には全学の施設として、ものつくりセンターやオープンファシリティセンターといったものつくりを支える環境が整っています。
このほかに工学院独自の取り組みとして、例えば機械系では、機械系のものづくりを支える工場設備、3Dプリンター設備、分析室等、ものつくり教育・研究を推進・実現するための充実した環境が整備されています。また、機械加工装置、化学分析装置、物性評価装置、その他、機械工学に関連した特殊試験装置等の研究設備を広く利用してもらうために公開している研究室もあります。
物質理工学院
Q.
物質理工学院の材料系と応用化学系の違いを教えてください。
材料系と応用化学系は、ともに学院の名称にある「物質」をターゲットにしていますが、その「物質」に対する取り組み方の違いがそれぞれの系の特色となります。材料系では、物質(素材)の特性の最適化を通して求められる材料を創出します。応用化学系では、原料の特性を活かした化学反応やプロセスを通して物質を創り出します。ともに扱う対象は、原子・電子からデバイス・プラントまでとミクロからマクロのスケールにわたります。なお、アプローチの違いから、どちらかというと材料系は物理寄り、応用化学系は化学寄りと言えるでしょう。
Q.
物質理工学院の応用化学系と、理学院の化学系の違いを教えてください。
理学院にも化学系がありますが、そちらは「理学」、つまり真理の追究を目的とした学問としての化学の意味合いが強いかと思われます。我々物質理工学院では、応用化学すなわち「生活を豊かにする化学」を強く志向して教育や研究を行っています。ただし、もちろん理論的なこともわかっていなければ、そのような化学の応用を学んだり研究はできませんので、理論も学ぶことができます。
Q.
物質理工学院の応用化学系と生命理工学院の生命理工学系の違いを教えてください。
生命理工学院でも化学の研究が行われていますが、その軸足は生命、高校の科目で言うと「生物」であると思います。物質理工学院では、応用化学すなわち「生活を豊かにする化学」を強く志向して教育や研究を行っています。大学には様々な化学がありますので、自分がどの様な「化学」に興味があるかで選択してもらえればと思います。
Q.
それぞれの系では具体的にどのような研究を行っているのですか。
系サイトの「研究室と研究テーマ」で研究室の様子や研究テーマを紹介しています。また公式Youtubeチャンネルにも研究室の動画をアップしていますので併せてご覧ください。研究の中身をより具体的に理解できるでしょう。
材料系
応用化学系
Q.
それぞれの系の授業では主にどのようなことを行っているのですか。
系サイトの学士課程「学びの体系」で教育課程の概略を説明しています。授業科目ごとの詳しい説明はリンク先にありますので、ご覧いただくことをお勧めします。尚、学士課程卒業後、大学院への進学を考えている受験生向けに大学院各コースのリンクも貼っていますので参考にして下さい。
Q.
卒業した後は、どのような職業に就く人が多いですか。
物質理工学院は材料と化学に跨る広い分野をカバーしているので、本学院の卒業生は化学・素材メーカー(化成品,セラミックス,金属)に加えて、エレクトロニクスやエネルギー、機械、自動車、プラント、商社、金融、情報など、あらゆる分野に就職しています。また、国内外の大学・研究機関や官公庁へも多数の人材を輩出しています。
Q.
材料とは何ですか。物質とは何が違うのですか。
「物質」は原子や分子で構成されている「実体を持つ物」の総称です。その「物質」に対して、人間がある特定の「意図」をもって活用を考える際に、対象に付される名称を「材料」と言います。例えば、金属はその成り立ちや特性そのものを研究する場合は「物質」として取扱われますが、それを社会インフラや宇宙船・航空機に利用する際には状況に応じた工夫が必要になりますので、物質の性質に加えて「加工法」や「製造法」も重要な研究項目として組み込まれます。これらを総称したものが「材料研究」であり、人間の高度な意図があって初めて成立する大切な取り組みです。電気・電子、機械,建築、土木、化成品、医療といった分野で扱う物質は全て「材料」の側面を持つことになります。
Q.
金属や合金に関する実験や研究はできますか。
材料系では20以上の研究室が金属に関する最新の研究を行っています。対象は鉄、チタン、アルミニウム、マグネシウムを始めとした様々な種類の金属で、合金は大切な分野のひとつですが、ナノ粒子や薄膜を研究している研究室もありますので、興味に沿った研究ができるのではないでしょうか。計算科学との連携や新しい評価技術の確立、社会インフラから医療材料までを俯瞰できる幅広いテーマ設定など、世界をリードする研究成果を発出しています。
Q.
物質理工学院でも医療系に関わるような分野を学ぶことができますか。
医療技術にかかわりの深い材料や化学について学ぶことができます。特に大学院では他学院・系の教員・学生とともに連携して複合的に学ぶ場であるライフエンジニアリングコースを選択すると、より多様性のある環境で学び、研究に励むことができます。
Q.
エネルギーや電池に興味があります。関連する研究は物質理工学院で行われていますか。
物質理工学院では、材料系と応用化学系の両方でエネルギーや電池に関係する世界最先端の研究を行っています。大学院ではエネルギー・情報コース(2024年4月から現エネルギーコースを改組)を選択すると、この分野を広い視野で深く学ぶことができます。
Q.
材料科学を学び、スポーツ工学に応用した研究・開発などをすることはできますか。
可能です。スポーツ用品には様々な高機能性材料が使われています。中でも高分子や金属等で構成される複合材料が使われている事が多く、広く材料科学を学修した卒業生達がこの分野で活躍してきました。中には自身でゴルフクラブを開発して会社を立ち上げ、その分野で著名になった先輩もいます。材料系での学修の成果を活用できる道が多くあるでしょう。
Q.
有機材料の研究など、材料系・応用化学系どちらにも属する研究があると思いますが、系を越えた関わりや研究の機会はありますか。
物質理工学院では学士課程2年次以降、材料系・応化系に分かれてそれぞれ独立したカリキュラムに従って学修を進めます。しかしながら(研究の世界では)研究室同士でよく似た研究テーマや相互に補完し合える研究テーマを実施している場合、系所属に関係なく共同研究を実施する事は普通に行われています。また、大学院レベルでは各系・コースで開講される授業は相互乗り入れ可能なものが数多くありますので、自身の専門に応じて、系を越えた相互作用が可能な環境にあると言って良いでしょう。
Q.
就職先に食品関係がありましたが、材料系、応用化学系出身で食品業界に携わるときに専門の違いを教えてください。
一般には修士論文や博士論文での研究テーマによって、同じ業界でも貢献の仕方が大きく変わります。例えば自身のテーマが有機合成に関連していれば、これは材料系でも応化系でも共通でしょうが、食品包装に関連するのであれば材料としての高分子複合材料の知見が、またある種の食品(中間品を含む)を大量に製造する場合には化学工学の知見が求められるでしょう。食品業界に限らず、それぞれの業界でどの様なビジネスがどの程度の規模で展開されているか見聞を広めることが大切でしょう。
Q.
製薬研究に携わりたいと思っています。物質理工学院で研究することはできますか。
製薬研究には色々な場面が有り得ます。薬に直結する研究に限定するのであれば、生物学や生化学を含む薬学部が近道であることは言うまでもありません。ただし、ある種の薬を合成する際に特定の有機化学反応が必要である場合、その開発自体は合成化学の研究が役立ちますので、広く合成化学を学修するという意味では物質理工学院でも対応できます。実際に応用化学系では、製薬に関わる研究を行っている研究室があります。
情報理工学院
Q.
情報理工学院の2つの系の違いを教えてください。
どちらの系も、現代の情報化社会を支える情報学を扱います。
数理・計算科学系では、情報学の基礎となる原理や理論を科学的なアプローチで扱う方法を学びます。具体的には、コンピュータを使った新しい数学を駆使するアプローチ、現実の諸問題を数理モデルに基づいて解決するアプローチ、そして情報処理を「計算」としてとらえ、実際にそれを実行するコンピュータ・システムの設計方法を学びます。
情報工学系では、コンピュータのハードウェアの基礎から基本ソフトウェア、応用システムまで、コンピュータに関する幅広い専門知識を学びます。そして、その知識を使って現実世界の社会的課題を解決するための新しい手法やシステムを実現し、社会を変えていける力を持った人材を育てています。
両方の系で研究している分野も多く、たとえば機械学習やプログラミング言語、スーパーコンピュータを使った高性能計算などは両方の系で研究しています。
Q.
情報理工学院の数理・計算科学系と、理学院の数学系の違いを教えてください。
数理・計算科学系でも数学を学ぶことができます。どちらの系も数学的な思考を基盤とした理論体系を扱いますが、数理・計算科学系では、数学、応用数学、コンピュータサイエンスをバランスよく学べるのが特徴です。数学を専門とする教員もいるので、数理・計算科学系で数学をとことん深く学ぶことも出来ます。個々の教員の研究分野を「研究室と研究テーマ」のページなどで調べて、自分の興味のある分野を探して系を選ぶとよいでしょう。
Q.
情報理工学院の情報工学系と工学院の情報通信系の違いを教えてください。
情報工学系では、コンピュータのハードウェアから基本ソフトウェア、さらにマルチメディア、人工知能、生命情報解析などの応用システムまでコンピュータそのもののしくみを理解し、活用するための幅広い知識が学べるカリキュラムを用意しています。一方、情報通信系では信号処理や通信技術とその基礎理論に関するカリキュラムが充実しています。また、情報工学系では実習を伴ったプログラミングの講義や複雑で信頼性の高く安全なソフトウェアを開発するための技術を学ぶ講義が充実しています。
情報通信系
Q.
情報理工学院の「情報」と生命理工学院での「情報」(生命情報科学)との違いを教えてください。
生命理工での生命情報は、生物学上の問題を情報技術によって解決しようとします。求める答えはあくまで生物学上の答えです。情報理工学院の生命情報は生物学上の問題の解決に使う情報技術自体を研究の対象とします。生物学上の厳密性はもちろん、解法の精度や計算量も問題にします。
Q.
それぞれの系では具体的にどのような研究を行っているのですか。
数理・計算科学系には幅広い分野の教員が所属し、情報学・数学・数理物理などを中心として多彩な研究をおこなっています。
情報工学系では、情報システムをモデリングする技術、複雑なソフトウェアを効率的に開発する技術、大量のデータから必要な情報を抽出する技術、人とコンピュータの知的インタフェース技術、音声・物体認識や自然言語を高度に処理する技術、生命に関する情報を解析する技術、社会をシミュレーションにより解析する技術といった様々な最先端の分野の研究に取り組んでいます。
詳細は各系のWebサイトで公開している情報を参照してください。
Q.
それぞれの系の授業では主にどのようなことを行っているのですか。
数理・計算科学系の学士課程では、数理・計算科学の諸分野の基礎である数学理論や数理論理学、計算機アルゴリズムの体系的知識を学びながら、汎用的なプログラミング技能も身につけます。
情報工学系の学士課程では、1年目は情報リテラシ等の基盤を、2年目には情報工学の基礎と幅広いプログラミング教育を行い、3年目に様々な情報工学の展開科目の授業があります。
詳細は各系のWebサイトで公開している情報を参照してください。
Q.
卒業した後は、どのような職業に就く人が多いですか。
情報理工学院の多くの学生は大学院修士課程に進学します。情報理工学院の学生に対するニーズは高く、情報関連の企業や研究機関を中心に、多方面の求人が寄せられています。就職を希望する学生は自分の適性に合った職場を選択することができます。なお、高等学校での情報科目必修化に伴い情報科目を担当する教員の必要性が高まっていますが、情報理工学院では「情報」と並んで「数学」の教員免許を取得することも可能です。
具体例は各系のWebサイトで公開している情報を参照してください。
Q.
プログラミングの経験がなくても大丈夫ですか。またそのような人はどのくらいいますか。
情報理工学院に入学する学生の中には、入学時点ですでに競技プログランミングで優秀な成績を残した人もいます。しかし、大多数の学生は必ずしも日常的にプログラミングをしているわけではありません。プログラミングの経験を前提としないカリキュラムを提供していますので、プログラミングの経験がなくても、入学してから積極的に学ぶ姿勢があれば、問題ありません。授業で学んで、プログラミングの科目で優秀な成績を修めている学生は多数います。
Q.
プログラミングを学ぶことはできますか。またどの言語を学ぶことができますか。
講義で様々なタイプのプログラミングの基本概念や原理を学ぶとともに実習を通して講義での理解を深めるようなカリキュラムが用意されています。授業で使うプログラミング言語は、Python, C, Scala, Java, Scheme などです。
Q.
ゲーム開発などはできますか。
ゲームが好きな学生が多いこともあって、プログラミングの授業のなかでゲームを題材にした課題が出ることがあります。しかし、ゲームプログラミングそのものを目的とした授業は実施していません。講義では、ゲーム開発に必要なコンピュータに関する基礎技術を学びます。本学にはゲームプログラミングも含めてさまざまな活動を実施している、かなり大規模なパソコンサークルがありますので、ゲーム開発に興味がある人は、サークル活動のなかで講義で学んだ知識を活用してサークルの仲間と一緒にゲームを作成してゲーム開発のスキルを磨くのがよいのではないでしょうか。
Q.
情報理工学院の数理・計算科学系でデータサイエンス・統計学・確率論を学ぶことはできますか。
統計学と確率論は数理・計算科学系の応用数理分野の講義でしっかりと学ぶことができます。200番台の講義一覧,300番台の講義一覧で詳しい内容がご覧いただけます。カリキュラムの概要は科目関連図が参考になるでしょう。
Q.
パソコンの知識がなくても入学した後についていけるでしょうか。
情報理工学院のカリキュラムは入学時点でパソコンの知識があることを前提としていません。入学後に興味を持って取り組めば有意義な学びができるでしょう。
Q.
VRに関する研究は行っていますか。また、どんな研究を行っているか教えてください。
情報理工学院では、VR/AR、3D可視化などHuman Computer Interaction (HCI)の研究をおこっています。
Q.
ハッキングなどセキュリティに興味があります。情報理工学院で学ぶことはできますか。
情報理工学院のサイバーセキュリティ研究センターがサイバーセキュリティ特別専門学修プログラムを提供しています。詳細は、学修プログラムのページをご覧下さい。
Q.
ブレインマシンインターフェースを研究したいと思っています。情報理工学院で研究することは可能ですか。
情報理工学院ではブレインマシンインタフェース(BMI)自体を研究対象としたり、BMIを使った研究をしています。また、BMIを実現するための基礎となる情報処理技術を情報理工学院で学ぶことはできます。
生命理工学院
Q.
生命理工学院の生命理工学系と物質理工学院の応用化学系の違いを教えてください。
生命理工学系では、有機化合物や高分子化学はもちろん、核酸・タンパク質・糖などの生体分子の化学を研究してます。生体への応用や創薬など主に生命に関連して化学を展開している研究室も多く、学院内での生物を研究している研究室との共同研究も盛んです。
Q.
生命理工学院での「情報」(生命情報科学)と情報理工学院の「情報」の違いを教えてください。
タンパク質などの複雑な生体分子を理論的に解明する研究や、遺伝子情報を解析する研究が中心です。また、生態系を情報科学的に解析する研究や情報科学を用いる創薬など、実験と情報科学を組み合わせて研究するケースも多くあります
Q.
生命理工学系では具体的にどのような研究を行っているのですか。
生命理工学系では、生命に関する科学やテクノロジーの研究を、化学・物理化学・生物学・情報科学などの分野横断的に実施しています。
Q.
生命理工学系の授業では主にどのようなことを行っているのですか。
生物化学、有機化学、物理化学を中心とし、基礎から専門まで幅広く学んでおります。
Q.
卒業した後は、どのような職業に就く人が多いですか。
化学・製薬・食品など生命に関連する企業に就職する学生さんが多いですが、理工系の確かな素養を活かし情報分野やビジネス分野に進む学生さんもいます。
Q.
他大学の生命系の学部との違いを教えてください。
東工大は理学と工学を中心に展開しており、生命理工学院でも理工系の基礎をしっかり修得した上で、物質科学や情報科学などの基盤的科学に基づいて生命の基礎から応用までを研究しています。
Q.
他の大学や研究所などと共同で行う研究や活動はありますか。
他の大学や研究所と共同研究を進めている教員も数多くいます。
Q.
高校で生物を選択していないので、単位取得などが心配です。
高校で生物を選択してこなかった学生さんは多くいますので、心配ありません。また、一年次から基礎的な講義を用意しているので、系統立てて学べます。
Q.
解剖が苦手です。生命理工学院では、解剖などを行うことは多いですか。
必修科目には解剖を含む科目はありません。解剖を伴う研究よりも分子・細胞・植物・昆虫などに興味がある場合は研究室を選ぶ時にも解剖をしない研究室を選ぶことができます。
Q.
将来創薬の仕事をしたいです。生命理工学院ではそれに関連する講義はたくさんありますか。また、卒業後この分野に就職した方の活躍を教えてください。
創薬に関わる仕事に就く学生さんは多く見受けられます。大手企業に就職した方からベンチャーを立ち上げた方までおられ、多岐にわたります。
Q.
遺伝子工学に興味があります。生命理工学院で研究することはできますか。
もちろん可能です。それを専門にしている教員も多数在籍しております。
Q.
医学に関する研究に興味があります。具体的にどのような研究をしているのか教えてください。
医学で使う薬、機器、デバイス、情報学などの開発などが主な研究ですが、非常に多岐にわたります。
Q.
医療機器を中心とした医工学に興味があります。生命理工学院で学ぶことはできますか。
もちろん可能です。それを専門にしている教員も多数在籍しております。
Q.
ブレインマシンインターフェースを研究したいと思っています。生命理工学院で研究することは可能ですか。
可能です。専門にしている教員も在籍しております。
Q.
食品開発に興味があるのですが、それに関連するような研究はできますか。
可能です。農学部とは少し研究の傾向が違うので、事前に調べるといいかもしれません。また、大学では理工学的な生命科学を勉強して卒業・修了後に食品会社に就職する学生さんも多くいます。
環境・社会理工学院
Q.
建築学系と土木・環境工学系の違いを教えてください。
両者とも社会的な課題やニーズに応える形で建設に関わるという点で共通点は多いですが、違いを挙げるとすれば時間や空間に関するスケールの違いが挙げられるかと思います。土木の方は都市全体あるいは地方、国家のスケールといった比較的大きな空間スケール、かつ100年先の未来都市を創出するといった時間スケールでの視点で都市をとらえていくような視点になります。一方、建築の方は主に個々の建物、もしくは建物群とその外部空間を含む環境を扱います。
Q.
それぞれの系では具体的にどのような研究を行っているのですか。
土木工学が対象とするのは、我々人間の生活する基盤の創出と維持です。この中には微生物レベルのミクロな視点の研究から、国土計画のようなマクロな視点までが含まれます。橋や道路、ダムなどが代表的な事例ではありますが、これはあくまで土木工学の対象の一部でしかありません。土木の対象領域があまりに広く、同時に身近すぎるが故に捉えづらいところがありますが、我々の日常のほぼすべてに関わる学問と思ってもらえばよいと思います。研究分野は元々構造、水工、土質、計画、材料といったような分野に分かれていましたが、最近は様々な学問分野との融合が進み、日々発展拡張しています。
建築学は良い建築と都市・環境をつくるための、「学術」、「技術」、「芸術」を三位一体とし、人々のより美しく安全で快適な生活の実現を目指す実学です。建築学系では、意匠をはじめ、計画・構造・材料・設備・施工のような工学的領域と、建築史のような人文社会学的な分野、さらには都市・環境工学、生活環境のような領域横断型の分野を対象としています。各分野では、柔軟で自由な発想、思考、創造力、倫理観を持ちながら最先端の建築・都市空間を創造するとともに、国際的な視野に基づいて環境・社会問題の解決に貢献するための研究を進めています。
融合理工学系には、化学工学、機械工学、電気・通信工学、土木工学、生物工学、さらには環境政策・計画学、応用経済学、社会学、翻訳学、応用言語学など様々な研究分野を持つ教員が在籍しています。それぞれの分野の先端的な研究に加え、国際社会の複合的問題の解決のため、従来の枠を超え様々な専門を組合わせた超域的研究が実施されています。
Q.
それぞれの系の授業では主にどのようなことを行っているのですか。
土木では2年次に、構造力学、水理学、土質力学などの力学及び材料学、計画学を基礎科目として学習した後、3年次により専門的な分野に関しての学習します。リアルにこだわるカリキュラムとして、実験・演習が多く組み込まれてい、座学で学んだ知識を実際に活用して身に着けてもらうような体系になっています。
建築学系では、2年次にから3年次にかけて、建築設計製図と建築学実験の必修科目を軸に、建築構造(力学・設計・構法など)、環境設備、材料、建築計画、都市計画、建築史の各科目を幅広く学習する体系となっています。また、表現やプレゼンテーション、コミュニケーションの能力を高める演習や実習が多く開講されています。
融合理工学系では、理工学の体系を理解し、それらを活用する能力(問題設定能力、問題解決能力、創造的思考力・実行力)、さらに、国際的コミュニケーション能力、複合的プロジェクトのマネジメント能力などを習得します。1年目に数学・物理分野の基礎知識を学び、2年目〜3年目は、データ解析、固体力学、生物工学、流体工学、電気工学、エネルギー工学など様々な専門分野の科目を履修し横断的な知識を習得します。グループ討論や発表を行い課題発見能力やチークワーク力を習得するPBL(課題解決型学習)分野の科目も複数あります。多くの専門科目が英語でも同時に開講され、専門分野での英語能力を習得できます。
Q.
卒業した後は、どのような職業に就く人が多いですか。
土木・環境工学系では以下のような就職先が多いです。
・官公庁:国土交通省、環境省、地方自治体
・交通:JR各社、高速道路会社
・建設:ゼネコン、建設コンサルタント
・エネルギー:電力各社、ガス会社
・その他、デベロッパー、コンサルタント等
建築学系では、以下のような就職先が多くなっています。
・建築設計事務所(組織/アトリエ/構造設計/設備設計)
・建設会社(ゼネコン、住宅メーカー等)
・建築材料生産会社(金属/ガラス/各種建材等)
・不動産開発会社(企画、管理、リノベーション等を含む)
・官公庁・公的組織(国土交通省/文部科学省/自治体/都市再生機構等)
融合理工学系では、学部卒業後は8割以上が大学院へ進学します。修士課程修了後は製造業、情報通信企業、建設業、公務員、各種研究所などで幅広く活躍しています。
Q.
「土木・環境工学系」に、環境という言葉が入っているのはなぜですか。
かつてはインフラを建設し、安全な社会基盤を構築していくことが土木の中心的検討事項でしたが、利便性の高い社会が構築されていく中で、ヒートアイランドや大気・水・土壌汚染のような地域的な問題や、地球温暖化のような全地球的な問題なども顕在化してきました。種々の環境問題を解決し、未来の世代に安心して引き継ぐことのできる環境と調和した持続可能な発展を目指すという意図から、「土木」の後に「環境」を加えた系の名前となっています。
Q.
都市計画を勉強したいです。建築学系か土木・環境工学系ではどちらがよいでしょうか。
建築・土木どちらでも都市計画を勉強することはできます。
都市といっても様々なスケールでの視点があり、土木はどちらかというと広域的、長期的な視点から都市を捉えて、分析し、対策を検討していくというようなアプローチになります。交通網や河川・水環境の計画などが代表的な例です。建築学系の都市計画では、土地利用や建物を中心とした都市開発の計画、歴史的市街地の保全、まちの再生・リノベーションなどを扱います。
Q.
西洋建築と建築設計を学びたいです。東工大が重きを置いている分野はありますか。
東工大建築学系では、7つの専門分野(歴史・意匠、建築計画、構造、材料・施工、都市計画、環境・設備、防災)の教員で構成されています。その中でも、歴史・意匠(建築設計)と構造、防災、計画の分野の教員の層が厚いことが特徴です。その他の分野も、複数の教員と、特徴的な研究テーマを持った教員によって構成されています。
Q.
建築学系を希望していますが、絵が上手に描けず、デッサンやスケッチに自信がありません。入学した後についていけるでしょうか。また、デッサンの授業はありますか。
建築学系の全専門分野で絵を上手く描くことが求められているわけではありません。また、「上手く」描くことより「よく伝える」ことの方が大事です。デッサンだけの授業はありませんが、造形力やドローイング力を磨くための演習授業があります。
Q.
都市工学で特に交通関連に興味があります。具体的にはどのようなことが学べますか。
自動運転をはじめとした次世代の交通モビリティの数理モデルを用いた分析、人々のモビリティに関するデータ解析、円滑な人やモノの移動にむけた法律や施設の計画、環境にやさしい交通の実現に向けた検討、ソフトウェアの開発など、これからの時代における人の交流やモノの移動の在り方を支えるための勉強をすることができます。
Q.
現地調査に行くことはありますか。
建築学系では、歴史的な建造物を見学・調査するものや、建築・都市環境の計測、災害で被災した建物や地盤の調査、まちづくりの計画を立てるためのフィールドワークなど、多岐にわたる現地調査があります。
土木・環境工学系は、自然やその中で供用される社会基盤施設を相手にする学問分野ですので、現地計測も頻繁に行われます。講義の中でも現地計測が行われたり、建設現場の見学会なども行われています。研究室の扱うフィールドによって、東南アジアの水環境調査、橋梁の劣化度調査、港湾構造物の調査、石積みの調査など、様々な調査活動が行われています。
融合理工学系では、環境問題、国際協力・開発、エンジニアリングデザインなどの研究室では現地での観測や聞き取りが研究方法として取り入れられています。
Q.
地球温暖化などの環境問題に関する研究はありますか。
建築は建設時、運用時などに多くのエネルギーを使用することから、建築学系ではカーボンニュートラルに向けた検討が行われております。エネルギー効率の良い建築設計・都市計画、建築材料、設備の開発に関する研究や再生可能エネルギー利用の最適化など、建築に課せられた課題は多く存在しています。
土木・環境工学系では地球スケールでの気候変動に関して、モデルを用いた大規模数値解析による検討やリモートセンシングを活用した研究が行われています。
融合理工学系では、地球温暖化(エネルギーからの将来ナリオ検討,都市域の気象変化予想,CO2回収技術の開発など)に加え、水資源、大気環境、水環境、廃棄物、環境政策、環境アセスメントなど様々な視点からの環境問題に関わる研究が行われています。
Q.
川の汚染について研究することはできますか。
土木・環境工学系では、川の流れや水質、植生、生物について、水質化学や生命科学、流体力学などを用いて多角的な研究が行われています。対象は日本だけに限らず、海外の河川などもフィールドとなっています。
融合理工学系では、川や湖沼、海洋を健全な環境に保全するための研究が、いくつかの研究室にて行われています。また、今後重要となる資源としての水について、現在量の把握や、地球温暖化や都市化に伴う将来変化などの研究も行われています。
Q.
災害との共存について研究することはできますか。
災害が多く発生する我が国においては、インフラ整備において防災は極めて課題であり、長らく研究が行われてきました。人口構成の変化といったように社会情勢が変化するとともに、インフラの高齢化が深刻化する中で、維持管理に対する研究が活発化していますが、同時に自然を克服するのではなく、災害作用を受け流し、共存を図るというような考えも台頭してきており、数値シミュレーションや実験を組み合わせて輝度データを得るとともに、ソフト面での対応可能性も検討もされています。また、レジリエンスという、災害時からの回復力に着目した都市計画や建設技術の研究もあります。
Q.
新しい持続可能なエネルギーの開発に関する研究を行うことはできますか。
融合理工学系では、核融合炉など新たなエネルギーの開発に関わる研究の他に、風力など再生可能エネルギーの社会への導入方法に関する研究など、様々な研究が行われています。
Q.
将来、国際協力に携わりたいと思っています。融合理工学系で関連した内容を学べますか。
融合理工学系では、国際協力を目指す皆さんのために専門科目(国際開発共創概論)が用意されています。また、防災・交通・教育・環境・適正技術・技術移転などでフィールドワークを行っている研究室もいくつもあります。学部から国際協力を学べるほぼ唯一の理工系学部と言っても過言ではありません。
Q.
建築学系で学び、一級建築士の資格を取得することはできますか。
「一級建築士試験 指定科目」に該当する科目について、分類別必要単位数を満たし、かつ合計単位数の条件を満たせば、学士課程卒業時に受験資格を取得することができます。
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